2009/03/07

Knole

ノールと呼ばれる貴族の館に行きます。今日は3月の第一土曜日です。まだまだ寒いですがそろそろイギリスにある観光地が開く季節です。大変有名なリーズ城とかはともかく、それほどでもない所は冬の間は閉館です。掃除とかするらしい。ノールは今日からオープンします。オープンの日に行って、一番乗りをしようという魂胆です。でも、移動時間を読み間違えて、到着は開館15分後、既にそれなりに混んでました。



ノールのあるケント州セブンオークス駅まではビクトリア駅から直通で一時間です。セブンオークス駅からは歩きます。駅から2キロほど歩いて、街の中心を抜けるとすぐにノールがあります。

大変広そうに見えますが実際、相当広い。建物は400ヘクタールの広さの公園に囲まれています。ヘクタールの概念がぴんと来ないがな。この公園では鹿が放たれています。奈良公園みたいなものです。この国では鹿はれっきとした食材です。そこまで日常的な食材ではないけど。

ノールは1432年にカンタベリー大司教が狩を行うために建てた邸宅で、その後、かの有名なヘンリー八世の手を経てエリザベス一世から家来のサックウィル家に与えられています。この貴族は由緒正しい家系のようです。ノールはイングランドでは最大の個人邸宅です。どのくらい大きいかというと365部屋だそうです。13部屋だけ公開されています。それでも十分だがな。入口でナショナルトラストの会員証を提示して入ります。

家というよりは城と呼ぶべき外観ですね。真ん中の門から入ります。入ると中庭を通って次の門があります。ノールはヴィタ・サックヴィルーウェストという女性の生家でもあります。女流文学者であり美しい庭園「シシングハースト・キャッスル・ガーデン」を造った人だそうです。シシングハーストにはもう少し花が咲く時期になったら訪れる予定です。ここはガーデニング愛好者の聖地だそうで、期待できます。もちろん私はガーデニング愛好者ではないがな。文学者だが残念ながら彼女自身はそこまでの作家ではないらしく、彼女と恋愛関係にあったヴァージニア・ウルフは有名です。ヴァージニア・ウルフの小説「オーランドー」はこの家がモデルになっているそうです。そうは行っても私も忙しくてそんなに本ばかり読んでいられないのですよ。大体英語で書かれた文学作品は読むのに時間がかかる。

門を抜けると更に中庭があります。その奥から入ります。

鹿公園に囲まれているためか、鹿の角が飾ってあります。

中は撮影禁止なので他から転載。中は結構混んでいます。シーズン初日にこれだけ来るということは皆さん開園を待っていたようですね。

中では沢山の絵画を見ることができます。もちろん、大物はいませんがそれでもVan Dyck ヴァン・ダイクとかを見ることが出来ます。後は家具ですね。相当古いのはぼろぼろになったソファとかで、触るなどころか空気を動かすなという感じでガラスの向こうから見ることが出来ます。

ベッドルームの一つは痛みが激しく、募金を呼びかけていました。ここは古い家なので損傷も激しいようです。

館の中を見た後はお昼を食べにカフェへ。定番ですがクリーム・ティー。今日は本日のスープを追加しました。野菜をジューサーで見えなくなるまで細かくしたトマト味でした。まあまあかと。不味くは無いけど、これといって美味いというほどでもない。この辺りでこの味だとやはりこの国の食事は期待できない。
その後は公園を歩きます。鹿がいます。鹿はどちらかというと大人しい動物のようで、追いかけると逃げます。

この公園では1967年にビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」のプロモーション・ビデオの撮影に使われたそうですが、どこが使われたのかよく分かりません。何しろ広くて。


セブンオークスの街を抜けて駅まで帰ります。ロンドンのターミナル駅から一時間は通勤圏内なのだろうか、よく分からない。郊外は完全に自動車社会となってます。
四時の電車に乗って帰宅は5時半なり。